94. 奏でる



 ピアノは鍵盤を叩けば音が出るし、トランペットも吹けば音が出る。
 バイオリンは弓を引けば音が鳴るし。
 では、「奏でる」とはどういうことなんでしょう。
 私は「きちんと弾かなくちゃ」というところを意識するあまり、トランペットやバイオリンは「音程」を意識しすぎて「音を出すことに振り回されている」という状況でした。
 ピアノはさすがに、それなりの年数を弾いているので、弾くことに振り回される、ということはあんまりないんですけれど、だからって心から音を出す、「自分だけの音」を出せているかというと疑問です。
 ただ、家での練習用に電子ピアノを買ったのですが、本当のピアノは、私が「ここはちょっと大きく音を出したいな」とか、「ここはなめらかに」という気持ちに応えて音を出してくれるように思います。
 これは、電子ピアノを弾かなければわからない感覚だったなぁ……って思ったり。
 この文章を書いているときの課題曲は「クシコス・ポスト」なのですが、「いい音を出してるから」と言われました。
 そういうちょっとしたことが、嬉しいし、それを続けられることが「奏でる」っていうことなのかもなぁって思います。

2014年08月21日
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