018. 冴えたやり方
「あたし、まほー習うっ! フェイも一緒に習おうっ!」
そう宣言すると、フェリックは目を丸くした。
「な、何で? 何でぼくまで習わなけりゃなんないのさっ?」
「一人でれんしゅーしてもつまんないからっ」
「あ、あのねぇ……」
フェリックは肩を落として、溜息を吐いた。
だが、フェリアはあることを考えていたのだ。
最近のフェリックは彼女がサリウスに剣を教えてもらっている間に、必死に飛ぶ練習をしているらしかった。
フェリアにはよくわからないが、彼は飛ぶことに必死なのはわかる。
何故フェイは飛べないのか。
そう思うし、出来ることなら手助けしたかった。
だが、彼が必死なのと飛ぶことを切望しているのがわかるだけに、フェリアは口を挟めない。
だから深く問いただしたり、下手な慰めや励ましをすることもないのだが、気落ちしている彼を見ると気になってしまうのだ。
ここしばらく彼女の頭の中は、フェリックがどうやったら飛べるかでいっぱいだった。
ただ、その中に、
フェイは飛べるようになったら、どこかへ行くのだろうか。
という不安もある。
そうだとしても、自分の我が儘であれほど真剣に飛ぶことに向き合っているフェリックを無視することは出来なかった。
そして、珍しく図書室にこもったりして ヴァイスは何かよからぬことを企んでいるのではないかと戦々恐々としていたようだが 魔法の中には空を飛ぶ呪文もあることを発見したのだ。
そのことをただ伝えれば、フェリックは抵抗するだろう。
反発も感じるかもしれない。
そう思って、フェリアは自分の我が儘として彼を付き合わせることにしたのだ。
「われながら冴えたやり方だよねっ」
一人悦に入りながらフェリアは師匠を捜すため、フェリックを連れ町に繰り出すのだった。
2005.05.30
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